たまには灯りを決してみる事。

私事だがバンドで現役で食って行ってた時はとにかく玄人うけする音楽を作っていたのでテクニックにも相当こだわっていた。
他のバンドに比べれば手数も足数も多いテクニシャンバンドであった事は間違いない。

ある時、いつも電気をつけたスタジオの中でのリハーサルだったが、ある日電気を全く消してみようというリハ方法を取った。最初は乗り気じゃなかったものの、やってみるといざこれまたどっこい、色んな事に気づかされる。全く灯りが無い状態だ。廊下の光も入ってこないようにしたのだ。

人間の5感というのは総合値は必ず変わらない。視覚を奪われればそのかわり聴覚や嗅覚や味覚が視覚が無くなった数値分上がるのだ。

目の見えない人がやたら聴覚に冴えてるのもそのせいだ。

当然音楽をやっているのだから聴覚が冴えるのだ。音や空気の流れで相手が次どんなアドリブをするのか、はたまたミスをするのか段々わかってくるのだ。
第6感まで研ぎすまされた感じになった。結果、視覚を奪われても演奏できるようになった。

これは日常生活でもそうなのだ。電気を消してみて初めてわかる事がある。
段々目がなじんで来て、今まで見えていたものがちょっと違う角度から見えたりする。

心もそうなのだ。いつも光々と灯っている灯りを一回消して真っ暗にして物事を考えてみる。そうすると今まで見えなかったものが続々と見えてくるし、見方も変わってくる。

会社経営などでもこれは活かせるだろう。光々と灯っている経営方針を一回、全員とは言わないが役員クラスの中で一度消して真っ暗にするのだ。
そうすると経営に対して今まで見えなかった盲点が盲目になって初めて見えてくる事がある。そういう訓練をしている会社はいざ会社の視覚が奪われてもパニックに陥る事はそうそう無い。