二つの足跡
今僕らの人生は終わった。
君と出会い、「どんな困難や苦しみが待ち受けていても、二人で同じ道を歩もう」と誓って結ばれてから、僕らは今日、交通事故により二人ともこの世から去らなければならなくなった。
天国から迎えの光が射し込んだ時、僕は神様にお願いした。
「少しだけ時間を下さい、今まで僕ら二人が歩んで来た道のりと足跡を見て、僕らの思いでを抱きしめてから天国に行きたいのです」
僕がそう言うと神様は僕らを見渡しの良い小高い山の上まで運んでくれた。
僕ら二人はその山頂から僕ら二人の歩んだ足跡を眺めていた。
どんな困難や苦しみが待ち受けてても二人で同じ道を歩もうと誓って結ばれたあの時から、ずっと僕らの足跡は寄り添い合って隣同士、二人分の足跡が果てしなく長く残っていた。
でも僕が深く人生に混迷して、苦しみ、病んでいた頃の足跡は、なぜか一人分だった。
「僕らはどんな困難や苦しみが待ち受けてても二人で同じ道を歩もうと誓ったじゃないか?なのになぜ僕がひどく苦しんでいたあの頃の足跡は一人分なの?」
そう僕が聞くと、隣に立っている君は
「私はあなたを愛し始めて一度も嘘を言った事はないわ。ずっと一緒にいたのよ。ただあの頃は私があなたを背負って歩いていたのよ」
と微笑みながら教えてくれた。