愛は一瞬散らかっていた全ての過去を連結させてくれる

愛は一瞬動き回っていた心を止めてくれる

愛は一瞬頭に散らかっている言葉を涙に変えてくれる

愛は一瞬いつもあけていた目を閉ざしてくれる

愛は一瞬をたまに永遠に思わせてくれる時がある

愛は一瞬自分をとてつもなく情けない存在にしてくれる

愛は一瞬わがままだった自分をひざまづく心にしてくれる

愛は一瞬ずっと無意味だと思っていた自分に意味を帯びさせてくれる

一瞬が去った後 愛は美しいからそこに永遠に居たいとわがままにさせる

でも愛は美しいから愛する人にそれを譲ろうと思わせてくれる

愛は一瞬だと思うからそれ以上求めようと思わない

一度でもそれを得たのなら次は与えたいとしか思えない

愛は一瞬ここに居て良かったと思わせてくれる

愛は一瞬出会えて良かったと思わせてくれる

でもみんな生きているから歩み続けなければいけない

愛を言葉にするのは大罪だと思わせてくれる

それでも美しいから歩きながらでも知らない人に必死で渡したいと願う

手が届くのなら愛に言葉はいらない

音を聞かせられるのなら愛に言葉はいらない

でも無理だと明らめた時言葉にするしかない

だから罪だと思っても人は愛を言葉にしようとする

なぜならそれは生きていく力になるから

人は生きるのに今とてつもなく力を要するから

そして愛は一瞬それ以下でもそれ以上でも無いと自分のサイズを教えてくれる



from 1999年 8月17日
大人になった自分へ宛てた詩